「ケーススタディ・オンラインワークショップ」イベントレポート

2022年6月22日に福祉と建築が主催のイベントを開催しました。前半はケーススタディ、後半はワークショップを実施しました。本記事では、イベントの様子をダイジェストでお届けします。

【概要】
■日時:2022年6月22日(水)14:00〜18:00
■会場:オンライン(ZOOM)

1. ケーススタディ「居場所とケアと建築 -事業者と建築家の協業の視点から-」

ケーススタディでは、医療法人かがやきの総合プロデューサーである平田節子さん、建築家・株式会社パトラック代表取締役の安宅研太郎さんが登壇しました。「居場所とケアと建築 -事業者と建築家の協業の視点から-」をテーマに、医療法人かがやきの社屋である「かがやきロッジ」の建設に至るまでの過程などを振り返りました。

まず平田さんは医療法人かがやきについて紹介しました。医療法人かがやきのはじまりは、2009年に総合在宅医療クリニックを開業したこと。以来、訪問診療や訪問看護などさまざまな在宅サービスを提供しています。創業時から大切にしてきたのは、地域と相補的であること。「地域の足りないものを持つこと、人の幸せに貢献することを意識している」と平田さんは話します。その一例として挙げられたのは「かがやきキャンプ」。地域に小児在宅支援施設が足りていなかったため建設された施設です。

つづいて安宅さんは2017年に建設された新社屋「かがやきロッジ」の建築に際し、意識した点などを紹介しました。かがやきロッジで特徴的なのは、執務で必要なスペース以外の場所が広く取られていること。「在宅医療は、将来的には地域住人や元患者家族、他分野の専門家とともに協力していく形でないと立ちいかなくなる」との市橋理事長の考えに基づき、大小さまざまなスペースで構成されています。設計するうえでエネルギーを注いだことは、どんな立場の人でも「自分はここに居て良い」と思える空間づくり。一緒に居る感覚が得られながらも適度な距離感が保たれるように、お互いの見え方などの調整を行ったとのことでした。

また安宅さんは「かがやきキャンプ」についても説明しました。安宅さんは施設長の藪本さんが考えるさまざまな刺激をどのように施設に反映していくかを考え、設計を行ったとのことでした。平田さんが一例として紹介したのは、施設に併設されているプールです。プールは重力から解放される空間であるため、普段は重力によりうまく身体を動かせない子どもも水の浮力によって身体を動かす経験をすることができます。

2. ワークショップ「福祉建築を考えるためはじめの一歩」

次のセクションではワークショップが行われました。参加者はそれぞれ所属している施設から参加し、「福祉建築を考えるためのはじめの一歩」をテーマに4つのワークに取り組みました。全体のファシリテーターを務めたのは、ミリメーターの宮口明子さんと笠置秀紀さんです。

今回のワークショップの目的は、「場所を『暮らす』で見つめ直す」こと。ワークを通して普段は「仕事の場」として捉えている施設を「利用者の暮らす場所」として見つめ直す機会にしてほしいとのことでした。

1つ目のワークの課題は「普段通らない場所を通りなさい。座らない場所に座りなさい。立ち止まらないところに立ち止まりなさい」というもの。見慣れた場所を違う視点で見ることがそのねらいです。

2つ目は「あなたの定点を探しなさい。心に引っかかる場所を探しなさい」という課題でした。参加者は定点を見つけたあとはその場所に座布団を敷いてくつろぎながら、なぜそこを選んだのかを考え、自分の感情に向き合ってみるように指示が出されました。

3つ目のワークはグループでの実施。2つ目のワークで決めた定点を写真などを共有しながらお互いに紹介し合う時間となりました。

最後は再び個人でのワーク。「誰かになりきりなさい。ある3人に感情移入しなさい」という課題が出されました。施設に居る利用者さんや職員さんなどを観察し、何を感じているかを想像するように指示が出されました。

4つのワークを終えた後は、全体でのシェアの時間に移ります。「人間の心理に建物の機能が深く紐づいているものだと感じた」「利用者さん視点で過ごしてみることで、その場所がどう見えているのか、快適なのかどうかを考えるきっかけになった」など、ワークを通してさまざまな感覚を得ることができたようです。

宮口さんから最後に伝えられたのは「今回のワークは準備体操のようなもの」ということ。笠置さんも、さまざまな場所に行って何かを感じたり考えたりする経験を積み重ねることで、良い施設づくりに繋げてほしいと話し、ワークショップを締めくくりました。

今回のイベントでは、頭と身体を使って福祉建築について知る機会となりました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

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